エッセイ エッセイのバックナンバー

「近頃の若いもんは」とか、「最近の風潮は」などの言葉が出るようになると自分も年をとった証拠でしょうか。近頃、電車のつり広告、電飾、看板など街中で写真を見ると旦那と二人で批評合戦が始まります。

先日も地下鉄の構内で大きな陶芸教室の広告を見つけました。それがどう見てもモデルさんはプロではなさそうだし、顔に吹き出物があり(自分がモデルだったら絶対に許可しない!)、背景のボケ具合も悪くてまったく修正を加えていなく、要するに細部に注意を払っていない写真でした。それ以前に写真の技術に問題がありか(?)それとは逆にブランドや化粧品の広告のようにモデルの肌がみんなアンドロイドみたいな質感もいかがなものかとも思いますが。

ある時2つのレストランのHPを見比べたとき、一つは技術のあるプロのカメラマンが撮った美味しそうな料理写真が掲載されていました。友人たちに見てもらったところ皆が「美味しそうな店だね」と言いました。実際に食べに行ったら美味しかったです。ところがもう一つのほうは素人がコンデジで撮ったものをそのまま載せている感じのものでした。当然行く気にはなれませんでした。基本的に食べ物屋さんは料理が美味しく見える写真を使うほうが良いですね。

うちの近所の質屋さんでは毎日多くの品物をHPに載せるため時間がある社員全員で手分けをして物撮りをしているそうです。質屋さんの場合は品物がはっきり写っていればよいのでそれでかまわないでしょうが、やはり料理は美味しく、女性は美しく撮れていたほうがいいと思いませんか?

デジカメや携帯電話が普及して誰でも気軽に写真が撮れるのは良いことですがあまりにも質の悪いもの、レベルの低いものが氾濫しているように思えます。特に広告などの多くの人目にさらされるものは一定のレベル以上でないと困りますね。ある人が「宝石商の娘は本物しか見ない。だから本物がわかる」また「悪いものを見ているとそれに染まってしまう」、「だから野寺、悪いものは見ちゃいけない!(笑)」と言っていました。

不景気で企業は宣伝広告費を削らなくてはいけないというのもわかります。社内で写真の上手い人がいれば物撮りなんて簡単にできますから。よって素人の方が撮影をする状況は増えているとも言えます。野寺はある区役所で写真教室の講師をさせてもらっています。刊行物や情報誌などの写真はほとんど役所の人たちが撮影しているからです。確かに情報的、記念的な写真なら全然OKですね。わざわざプロに依頼する必要もないわけです。それも時代の流れなのでしょう。しかし使い分けは必要でしょう。美しいものはより美しく、美味しい料理はよりおいしく、そうでないものもそれなりに(なんだか昔流行ったCMみたいですね)撮影ができる人に頼むほうが、一時的に経費はかかりますが長い目で見れば得策ではないでしょうか。というわけでお仕事待っていますのでよろしくお願いします。(笑)

写真家 野寺治孝
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