エッセイ エッセイのバックナンバー

高校2年生の息子は期末試験が終わるとすぐに山梨のペンションへ住み込みのアルバイトに行ってしまいました。試験結果にドキドキ(親の方が)しながら無事赤点も取らず、終業式には出ましたがその足でまた出かけて行きました。

先日、様子を見に旦那と二人で日帰り訪問をしてきました。下界の茹だるような暑さとはうってかわって標高1300メートルにある高原のペンション周辺心地よい涼しさでした。近くに川が流れているのですがそばにいると肌寒いほどでした。

中央線で新宿から甲斐大和駅まで1時間20分。駅からは迎えのミニバスで20分ほど山を登って行きます。ペンションは大菩薩峠の手前にあります。こんもりと繁った木立の中を進んで行くとだんだん空気がひんやりとしてきました。車内ではドライバー兼オーナーと高校の生物部の学生たちが専門用語で会話しているのが面白かったです。イワナとアマゴのDNAの違いとか○○クワガタは何月になると出てくるとか、そうです、ここは「虫屋さん」憧れの聖地なのです。ちなみに「虫屋さん」とは昆虫を採集したり研究したりする人たちのことです。うちの息子はクワガタ虫が好きで小学校の頃からここに通っています。夏休みになると学校の生物部の学生や大学生、理科の先生などで宿は満杯になります。しかし虫の世界と一口に言っても奥深いものです。地球上の生物のなかで一番多いのは昆虫だそうです。ですからいろんな虫の研究、例えばノミの研究をしている人曰く、ノミは動物の種類によって付いている種類が全部違うそうです。(どんだけいるの?)それからヤスデを研究している人(考えただけで背筋がゾクゾクします)本当にオタクの世界ですね。そんな虫に比べればクワガタやカブト虫なんか可愛いものです。私ですら幼虫が可愛いと思えるようになったのですから。

宿の名はペンション・すずらんと言います。オーナーの義弟さんはその道では有名な採集家で新種の虫を発見も多いそうです。敷地の中には昆虫館もあり息子にとっては願ったり叶ったりのバイトですね。実は春休みにも行って昆虫館の整理整頓を手伝っていました。

おばあちゃんが山菜料理、奥さんたちが厨房で料理をし、娘さんがデザートを作ったりと家族総出で切り盛りしています。食堂もやっているので夏場はバイカーが多く、昼時はそんな人たちで混雑しています。

息子の仕事は朝食の準備、部屋の掃除、ベッドメーキング、トイレ掃除、昼は食堂でランチの注文取り、配膳、皿洗い、夕方からは夕食の準備と目が回るくらい忙しいそうです。うちにいるときは部屋の掃除すらしたことないのに・・・

とにかく元気でやっていることがわかりホッとしました。半人前の息子を働かせてもらい、食べさせてもらい、お給料までもらい本当に有難いことです。おかげでこの夏は夫婦二人でのんびりさせてもらっています。

ペンションすずらん http://www.cosmo.ne.jp/~suzuran/

写真家 野寺治孝
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