エッセイ エッセイのバックナンバー

四年に一度の浦安三社祭が無事に終わりいつもの静けさを取り戻した元町です。お祭りの日には息子が学校の友人(可愛い女子二人)を連れてきてにぎやかな1日でした。

そんなある日うれしいニュースが飛び込んできました。出版社のYさんからなんと本5冊の出版の打診が! Yさんは根っからの本好きな編集者です。本に対する思い入れが半端じゃないです。だからそういう仕事に就いているとも言えますね。ハワイの写真集を作りたい(Yさんはハワイ好きでもあります)と前々からおっしゃっています。実現できるといいです。そしていつも良質の本を作りたいとも。しかし出版社としては売ることも考えなければならない。いつもその辺りがジレンマのようです。作者の立場としては出来る限りお金を掛けて素敵な装丁をしてもらい、かつ売れる本を作ってほしい(贅沢な!)というのが本音ですが、そこには予算という高~い壁が立ちはだかっています。そこでお互いにぎりぎりまで予算内で質のよいものを作ることに心血を注ぐわけですが、良いものが売れるとは限らないことも多々あります。写真集に関して言えば、小さな書店には置かれませんし、大きな書店でも写真集コーナーに置かれたらあまり一般の人の目には触れません。そこで最近は苦肉の策で一般書のコーナーに置かれることを想定した本作りをしています。文章と写真のコラボ本の場合は必然的に写真の数が少なくなります。写真家としては少し淋しいところですが全体的によい本ができればいいというスタンスでやっています。

ところで、坂之上洋子さんとのコラボ本「結婚のずっと前」がおかげさまで、昨年9月発売以来半年で8刷になりました。これは出版業界でも話題になっていてすごいことらしいのです。この本は新宿の某大型書店では意外に男性の購買者が多いとか、女子が一人で何冊も買って友人にプレゼントをするとか、ジャケ買いする人もいるそうです。やっぱり結婚って永遠のテーマなのか・・・洋子さん自身は深い愛情で一人娘のTちゃんのために結婚のずっと前に読む本として書いたそうですが、普遍のテーマだからこそ多くの人々の共感を呼んでいるのだと思います。でもたまに写真に惹かれて買ったという方もいらっしゃいます(笑)前回の写真展に来ていただいた女性もその一人でした。「結婚~」を本屋で見て初めて野寺の写真を知ったそうです。そういう意味でも一般書コーナーに置かれることは重要ですね^^

でももしかしたら野寺という写真家を知らなくても町のどこかで写真を見ているかもしれませんよ。東京駅の地下道やデパートの壁、お店の看板など時々発見します。あるとき下北沢のカルディという輸入食品を扱っているチェーン店で買い物をしてレジに行くと、店員さんの後ろの壁に80年代にアメリカで撮った写真が貼ってありました。うれしい遭遇でした。ちなみにこのお店は第1号店とか。また野寺が若い頃、横須賀のモスバーガーに入ったら自分の写真が額装して壁一面に飾ってありびっくりしたことがあったとか。それから最近インターネットで写真集を切り抜き額装して販売している人を見つけました。その人が書いている野寺のプロフィールが上手く書かれていて本人も思わず感心していました。他の写真家さんは法的手続きをして止めてもらったという人もいましたが、「とりあえず写真集を購入してくれているのだからいいんじゃない。その人の生活もあるしね」と言って笑っていました。そういうのも"自炊"っていうのかしら?

これを書いているさなかに「結婚のずっと前」の9版目の増刷が決まりました!!!皆様ありがとうございます。

写真家 野寺治孝
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