エッセイ エッセイのバックナンバー

 長年、雑誌の取材ではいろんなところへ行かせていただきました。そしていろいろな人にも出会うことができました。あるときは、四国に住む世界的な彫刻家、またあるときは自力でユニークなマンションの部屋を作り続ける家主さん、モノ造りのアーティストさんたち、お店を経営されてる方々などなど数知れません。

 私は旦那がギックリ腰を患ってからアシスタントとして、ちょうど子供の手が離れたこともあり、アシ兼荷物持ちで一緒に出かけることが多くなりました。はっきり言って、私は写真に関してはドがつくほどの素人です。認めます。いまだにレフ板の当て方で旦那にどやされます。しかしこんなことを言っては旦那には悪いのですが、時々物見遊山的な気分のときもあります。(旦那、ごめん。)

 例えば、南こうせつさんのインタビューとライブのリハーサル撮影のときなどもライブ本番ではちゃっかりマスコミ席に座り鑑賞させていただきました。それから、CDジャケット撮影を依頼されたとき、六本木の録音スタジオで有名ミュージシャン(山下達郎さんのバックなどをされている方々)がカラオケを作る現場とか。子供たちと一緒に歌うベッキーちゃんの撮影について行ったり。彼女はテレビで見たまんまの可愛い人です。緊張気味の子供たちに声をかけて和ませてあげたりサービス精神旺盛な感じでした。彼女は以前、新聞に野寺の「あの海の日」が好きと書いてくれたことがあったので、ハワイ本を進呈しました。すると数日後に直筆のお礼状が来ました。それ以来うちの家族はじじもばばもみんなベッキーの大ファンです。お礼状と言えば、渡辺えりさんを取材した縁で、彼女の劇団のお芝居を見に行ったことがあります。野寺の母も一緒で、母は手土産の浦安名産、“焼アサリ”を楽屋へ差し入れしました。後日、これまたえりさん直筆で、「初めて焼アサリを食べたけどおいしかった」と書かれた礼状をいただきました。こちらとしても喜んでもらえて何よりでした。それにやっぱり直接お返事をいただけるのは本当にうれしいものです。

 またあるとき、旦那は三重県在住で巨大オブジェを作っていらっしゃる先生を取材に行きました。だだっ広い田んぼの真ん中に畳一畳くらいの、例えればティッシュボックスのような鉄製のオブジェがあったり、高さが3メートルくらいの真っ赤な円錐があったりしたそうです。それを見て旦那は思わず「いやぁー実にバカバカしくておもしろい!」と先生に向かって言ってしまい、内心"しまった"と思ったらしいのですが、そこは大物、「いやぁ、バカバカしいとは最高のほめ言葉だ」と言ってワッハッハと笑っていらしたそう。そして先生は旦那に「その円錐、気に入ったら持って帰ってもいいよ」と。旦那は心の中で"持ってけと言われても運べるしろものでもないしなぁ・・・"と困ったそうです。大きいものといえば、カリスマ美容師さんのお宅はすごかったです。地方から古い民家を解体し運び、有名な建築家の設計で建てた豪華で趣向を凝らした素晴らしい古民家住宅でした。でも何と言っても極めつけは、某有名神社から譲り受けたという御柱が地下室から3階まで突き抜けていたのには本当にびっくりしました。ご利益があるのでしょうか。ちなみにこの先生の予約は3ヶ月先までいっぱいだそうです。

 これからもどんなところへ行けるのか、どんな方々と出会えるのかますます楽しみな私です。

 

写真家 野寺治孝
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