エッセイ エッセイのバックナンバー

 うちには9年飼っているカメ、6年一緒に暮らしているネコ、息子が飼育している甲虫がいます。まずは私のネコ、名前はフウ(中国語で虎の意味)で白黒の女の子。旦那が阪神ファンなので付けました。このネコ、何の役にも立たないのですが可愛いんです。それだけで世の中を渡っているという感じです。人間でもそんな人いませんか?旦那はバカフウと時々呼びますが。朝はまず旦那を起こしご飯をねだります。食べ終わると小用を済ませダイニングテーブルの上からじっとカメを観察します。その後は日がな一日どこかで寝ています。

 クワガタは息子が小学4年生のときから飼育しています。最初はうちで飼っていたのですがあまりにも種類と数が増えてしまい、今では実家の倉庫を借りて卵から育てています。いわゆるブリーダーですね。夏になると近所の子供や虫好きの大人が買いに来ます。まぁちょっとした小遣い稼ぎですが何せ元手がかかっていますので。息子は小さい頃から生き物が好きでクラゲ、魚に凝ったこともありました。今だに実家の水槽には巨大な金魚や増えすぎたグッピーがいて祖父が面倒を見てくれています。

 息子が生まれる前は大作という名のウサギがいました。撮影に行った先でもらってきたのですが、この子は本当に飼い主孝行の良い子でした。というのはこの子の写真がいっぱい売れたのです。Tシャツやノートの表紙等いろいろなグッズに使われたからです。とは言えヤンチャな一面も。ある日ケージに入れ忘れて映画「ジュラシックパーク」を見に出かけてしまいました。家に帰ってきたら植木は倒れている、重ねてた本がバラバラになっているわで部屋の中がジュラシックパーク状態でした(笑)。しかし何よりも彼に感謝したいのは生まれたばかりの息子の面倒をよく見てくれたことです。息子が寝ていると必ずその横で添い寝をし、息子に首を絞められてもじっと我慢。お腹を空かせて泣いていると自分のケージからセロリの葉をくわえて持って来てくれたこともありました。その感動的な話は今でも家族のなかで語り草になっています。その大作の墓は私の実家の庭にあり、里帰りのたびにお参りしています。

 そして、最後はカメ。これは旦那のペットで名前はゲンタ。うちに来たときは3センチくらいで手のひらに乗る大きさでしたが、今では全長20センチほどになりました。片手ではつかめないくらい大きくなりました。うちのカメは冬眠するのですが完全に眠っているわけではなく、餌を食べなくなります。ゲンタが食べなくなると冬が来た、食べ始めると春が来たと実感するわけです。

 ところが先日大事件が起きてしまいした。いつもより早く起きた旦那がわぁわぁと騒いでいて、寝ぼけ眼の私に向って「ゲンタの水槽に変なものが浮かんでるけど麩でもやった?」と。朝っぱらから何言ってるのかと訳がわからず、見に行くと蚕の繭のようなものが10個くらい水に浮かんでいたのです。どうも卵っぽい。そういえば思い当たるふしが。今まで夏にはモリモリご飯を食べていたのに、全然食べくなかったからおかしいなぁと感じていました。あとで調べてわかったのですが、カメはメスだけでも卵を産むそうです。当然無精卵なのでかえることはないのです。するとこのカメはメス?今まで9年間オスだと思って育ててきたのに実はメスだったのです。そういうわけでこの日から名前をゲン子と改めました。わが家はペットも含めて一家そろってなんだかゆるいですね。

写真家 野寺治孝
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