エッセイ エッセイのバックナンバー

H(野寺治孝) J(純子)

H&J:新年あけましておめでとうございます。
H:昨年は何といっても私が撮影した貝の写真でサマーグリーティング切手が発売されたことが嬉しかったね。発売前に地元の郵便局に大量枚数予約をしに行ったら窓口で不審な顔をされた。「私が作者なんです」と言うと局員全員が立ち上がって、「おお、作者の方が来るなんて・・・」と大喜びしてくれたんだ。照れくさかったけどめちゃ嬉しかった。
J:そうだね。親戚、友人一同みんな大喜びして切手を買ってくれたよね。売れきれて買えなかったという話もあちこちで聞いたしね。全国津々浦々の郵便局に置かれるなんて考えただけでもすごい!
H:話は変わるけど11月に8年ぶりにハワイに行けたことも嬉しかった。オアフ島にカイルアという町があるんだけど、そこにゆっくり滞在し撮影したくて宿を綿密に調べ予約したんだ。そしたら・・・
J:出発の前の週に突然キャンセルされたのにはびっくりしたね。その理由にまた驚いた。その宿の建物を売却するからなんて・・・日本じゃ考えられないでしょ。
H:あせったよ。諦めかけたんだけど旅行社の方がなんとかB&Bを探してくれたんだ。行ってみたらプールがあって静かで快適な宿だった。でも着いた日の夜は眠れないほどの土砂降りで洪水にでもなったらどうしようかと心配になったよ。
J:翌日他のゲストの人に聞いたらその前の週はずっと雨だったらしいよ。ハワイに来てずっと雨なんてヤダなぁ・・・って暗い気持になったんだよね。
H:そうだったんだ。私はポジティブだったよ。1ヶ月前に大けがしてもおかしくないほど頭を打ったし、(鉄棒から落ちた)出発前には風邪も引いた。そして宿のキャンセルだろ。
だから悪いことは全部もう出てしまったと思ったから、これからはいいことしか起こらないと信じていた。そしたらやっぱりこの日からずっと天気が良かった。写真家にとって天気はどうにもできないけど作品の良し悪しにかかわる大きな要素なんだ。
J:じゃあ直前に悪いことがいっぱいあって良かったね(笑)
H:良くねえよ(怒)頭をぶつけたとき気を失ったんだよ。当たり所が悪ければ本当にやばかったよ。今だから笑えるけど。
J:しかし円安の影響もあるかもしれないけどハワイの物価が高くなったのにはびっくりしたわ。ロンドンに行ったときにも驚いたけど同じ位かもしれないわね。
H:コンビニの三角ハムサンドが400円、お弁当が1000円、缶ビールが300円だよ。
J:とにかくすべてのものが日本に比べて高かった。友人がNYも同じだと言ってたからアメリカ全体がそうなのかも。今やハワイは遠い楽園になりつつあるかも。
H:今回のハワイは二つのアプローチがあったんだ。一つは大型カメラで真正面から撮ったようなキチッとした写真、もう一つは若い頃の原点に帰って浅井慎平さんのような写真だったんだ。どちらにしようかがとうとう決まらずハワイに来てしまった。こう書くと「両方撮ればいい」とおっしゃる方もいるかと思う。でも経験上両方撮るとどっちつかずになってしまい結果としては最悪になってしまうんだ。最初の3,4日は調子が上がらずちょっとナーバスになってしまった。
J:そうだね初めのころは「見えてこない」なんて言ってたわね。でも後半はガンガン撮ってたじゃない?
H:自分なりにプレッシャーがあったのかもしれない。8年ぶりだし、ハワイは一番得意なホームグランドだし、何か今までとは違うものを撮らねば、などと知らないうちに力んでいた。途中から何だか力が抜けてきたのと「ああ、若い頃はこう撮ってたよね」が認識できたんだ。具体的には寄りが足りなかったことに気がついた。難しく言うと心の寄りも含めてだけど。テーマだのコンセプトに囚われすぎていて肝心の「目の前の被写体を撮る」ことをおろそかにしていた。基本中の基本だよね。30年以上写真をやってるけどまた一つ勉強になった。奥が深いよね。と同時に写真は難しい。
J:なるほど。私はお気軽にGO-PROで遊んでいただけでした。おかげで面白い写真や動画が撮れましたよ。あなたが悩んでる間に(笑)
H:まあ、どうやっても一生悩むんでしょうね。あと一つ言えることは、ハワイでいろいろな方の親切があって無事撮影できたってことです。ありがとうございました。
H&J:ということで本年もどうぞよろしくお願いいたします。野寺に関する情報などはこのホームページ、フェイスブックツィッターで発信していきます。

写真家 野寺治孝
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