エッセイ エッセイのバックナンバー

h(野寺治孝) j(純子)

:明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。今年は新春早々写真展を開催します。2月2日(土)からですが、詳しくはトピックスをご覧になって下さい。とまずは業務連絡から始まりました。

:写真展の準備は進んでるの?
:この間一緒に印刷をしてくれているプロスト社に行ったよね。担当者の人がすごく解っていて、親切なので順調ですよ。ただし搬入になると予想外のことが起こるんだよね。
:予想外のことってどんなこと?
:一言で言ってしまえば平面を立体に起こしたときのイメージの違いかな?図面上いいと思っても飾ってみたらなんか違うってことがあるんだよ。やってみないとわからない。一番恐いのは作品の破損だね。
j:でも皆さんプロだから大丈夫でしょう。あなたが一番壊しそうで恐いよ。
:かもね(笑)

:写真展もそうだけど、新しい写真集「boat」はどこまで進んでるの?
:校正のチェックあたりだね。今までこの作品は「東京水上」って呼んでたんだけど正式に「boat」ってタイトルに決定したんだ。編集をお願いしたブックディレクターの幅允孝さんとデザイナーの尾原史和さんが考えてくれたんだ。「どこか特定の場所ではなく、ボートに乗って水面を漂いながら気持ちにおもむくまま撮った写真」とお二人は言っていました。
:良いタイトルだね。以前あなたがオンデマンド印刷で作った「東京水上」はあれはあれでよかったけど、若くて優秀な人たちの手に掛かるとまた全然違う本になりそうだね。すごく楽しみ。装丁も凝ってるっていうし。
:そうなんだよね。実は写真集っていうのは作り方が無限にあるんだ。たぶん一番わかってないのは作者の私だと思う。だからほとんどお二人に委ねたんだ。でもそれが正解だった。自分ではどの写真も可愛い子供みたいだからなかなか落とせないないんだよね。結果何百ページもの本になってしまう。現実にはそんな本は作れないわけだからねぇ。
:でもあの有名な幅さんによく出会えたね。それによく引き受けてくれたよねぇ。もちろん写真も気に入ってくれてるだよね?
:出版元は出版社ではなく製本会社の栄久堂さんなんだ。前作の「南三陸町からの手紙」を作って下さったところで、専務の佐藤さんがめちゃ本に対して愛情が深い方で「製本会社にできる優秀な本を作りたい」を信条にやっているんだ。ダメ元で幅さんにお願いしたとろこ快く引き受けていただけた。正直最初は幅さんに作品を見てもらうときとっても恐かった。こんな写真では本は作れないって言われるんじゃないかってね。
:ずいぶん弱気だったのね。いつも空威張りしてるくせに。うそうそ。やっぱり恐いよね。作品を批評してもらうのは。でも褒めてもらうとブタも木に登るって言うしね。(笑)
:ところが最初に提出したベスト30枚よりも彼は別カットのほうを多く選んでいたんだ。どこで撮ったかわからないような写真を多く、ね。理由は「野寺さんはスカイツリーや日本橋といったランドマークを特に撮りたいとは思ってないですよね。だからどこだかわからない場所のほうが、これが東京?っていう驚きがあっておもしろいですね」そこでもう一度セレクションをし直して後日幅さんに提出したんだ。
:さすが写真集を多く手掛けているプロの編集者だね。
:結局自分の作品が一番わかってないのは自分なんだよ・・・優秀な方々はこの作者は何を撮りたいのか、何を表現したいのかを一瞬で見抜くんだ。漁師にたとえるならば、いい魚を取ってくるのが私で、それをどんな方法で美味しく料理するのかが編集者とデザイナーかな。お二人にお任せして本当に良かったと思う。

:なるほど。ではまた業務連絡ですが、写真集「boat」は2月下旬に全国販売の予定です。詳細はもう少しお待ち下さい。あと先行販売があります。
野寺の写真展「here,there&everywhere」の会場で2月2日初日より販売されます。予定価格3,900円でおまけも付きます。トークショーでは幅さんもゲスト出演されますのでそちらのほうもよろしくお願いします。詳しくはトピックスのページをご覧になって下さい。

h&j:今年もいろいろと頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。ではまた次回。

写真家 野寺治孝
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