エッセイ エッセイのバックナンバー


桜も終わって緑の季節ですね。桜と言えば某雑誌から来年4月号予定の桜の撮影依頼がありました。テーマは東京の桜です。ネイチャーとしての桜ではなく東京のランドマークと桜です。桜はもちろん撮ったことはありますがしっかりと取り込んだことは初体験でした。六本木、浅草、上野、芝、浜離宮、台場、千鳥ヶ渕、四谷と延べ5日間掛けて撮りました。今年は特に人出が多かったですね。去年震災の影響で控えた人がドッと出て来たって感じでした。

浅草はスカイツリー人気で特に凄かった。千鳥ヶ渕もボートが三時間待ちでした。それにしても日本人は桜が大好きです。春の訪れと共に一気に咲き、パッと散る潔さ。解ります。前半はかみさんを助手に、後半は息子に手つだってもらいました。お仕事とは言え気持ち良かったです。こんな機会がなければこれほど桜を見ることもなかったでしょう。でもなぜか一番印象に残っているのは浅草の昼下がりに食べたラーメンですね。

さて最近、女性5人のポートレートを撮りました。素人さんです。最初は照れて、硬かった表情も最後の方は砕けていい表情をしてくれます。たいがいの女性はそうなりますね。シャッター音が快感なのでしょうか?男子はそうなりません。硬い人は最後までダメですね。私はあまり話しかけません。私も恥ずかしいからです。初対面の人になれなれしく話すことは苦手ですね。アラーキーのように「いいよ。いいね。脱いでみようかあ」なんてとてもとても・・・幸い写真を気に入っていただけたようで良かったです。こればかりは私がいいと思っても本人が気に入らないってこともあります。

いい話がありました。5年ほど前から友人のボートに乗せてもらって撮っています「東京水上」が写真集になります。テーマは水辺から見た変わり行く東京。最初はスカイツリーもゲートブリッジもありませんでした。徐々にその姿が現れ完成しましたね。私の中では「TOKYO BAY」のオマージュ的作品です。陸側から見た「TOKYO BAY」に対して、海側から見た「東京水上」です。早ければ今年中には完成できそうです。

こんなことばかり書いてるとさぞかし儲かってるんだろうとお思いでしょう。全然です。景気悪いです。仕事量が少なくなるし、ギャラは下がるし、ですね。これから写真界に入る若者はよっぽど覚悟しないと食べられないでしょう。いや食べていくことさえ困難でしょうね。

15年位前に「デジカメになれば経費が掛からずに丸儲け出来る」と考えていた先輩は廃業しました。技術は私より上でした。当時私の10倍は稼いでいたでしょう。一緒に組んでいた社長さんは私を選ばずその先輩と組みました。そして早くに引退し隠居しています。それがいいかどうかはさて置き、私に引退はありません。多分倒れたときが引退でしょう。

デジカメが出来て。簡単に失敗しない写真が取れますが写真がおもしろくなったのかと言うと違いますよね。本来は機材が良くなったのだから写真も良くならなければいけないのに、安易になってるのはなぜでしょうか?答えは簡単です。「人は楽な方に流される」性質だからです。おおげさに言えば裕福になりすぎ平和ボケすれば人の心は空虚感で満ち溢れるのです。おっと話しが飛躍しすぎですね(笑)そんな今日このごろです。「儲からないけど楽しくいろんなことをやっています。」


写真家 野寺治孝
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