エッセイ エッセイのバックナンバー


久しぶりに音楽について書きます。ピンク・フロイド(以下PF)は60年代から活躍するイギリスのプログレッシブ・ロックグループです。今は解散状態ですね。PFを語るには何と言っても世界中で1千万枚以上セールスしたと言われているアルバム「The Dark Side Of The Moon」(邦題「狂気」)でしょう。最初から最後まで曲が続いていきます。心臓の鼓動から始まります。何と説明したらいいでしょうかPFの音楽は。私の感想ではとにかく美しい。そして恐い。詩の内容も鋭いです。例えば、「歳月は年一年と矢のように過ぎ去り、お前は息をつく暇もない」(「タイム」より)、「金、こいつは罪なものさ。諸悪の根源なのさ」(「マネー」より)、なんて感じです。超現実の世界観といったらいいでしょうか。しかし曲はロックしています。これはメンバーのデビッド・ギルモアのギターによるものでしょう。このアルバムのマネーという曲は最初にレジスターのお金の音から始まります。「ガチャガチャ、チャリーン!」って感じで始まりこれがだんだんリズムになっていき楽器の音が入ってきます。途中リズムが一瞬ジャズっぽくなったりして笑えます。

もう1枚推薦するとしたら「WISH YOU WERE HERE」(邦題「炎」)でしょう。出だしの忍び寄るオルガンの音がすでにPFしています。この「狂ったダイヤモンド」は組曲になっています。本当に美しい。すべてを超越して聴こえてきます。私はこの曲を聴くとよく眠れます。風邪を引いて熱があるときにはプチトリップしちゃいます。(笑)「あなたがここにいてほしい」って曲はチープなラジオから聴こえてくるギターの調べに乗って主人公がギターをそれに合わせて弾き、いつしかそれが一つの曲となっていきます。

この後のアルバム「アニマルズ」とPFの最大のヒットアルバム「ウォール」は私的にはいまひとつですね。メンバーの一人、ロジャー・ウォータースの個性が強すぎてソロアルバム感が強いからです。

とりあえず聴いてみたいなと思う人は2枚組みのベストアルバム「ECHOES」がお薦めです。ベストといってもPFのことですから曲のつなぎ方が絶妙です。最近リリースされましたベスト盤「A FOOT IN THE DOOR」はつなぎ方が不自然でお薦めできません。あとはライブアルバム「p・u・l・s・e」はDVDがいいです。光と音の洪水です。私は1988年に彼らのコンサートを武道館で見ていますが噂以上に凄かったです。レーザーが光り、豚が飛び、巨大なミラーボールが輝き、スクリーンには映画が映りました。演奏もCDを聴いているような完璧さでそれはそれは素晴らしく、楽しいコンサートでした。音楽は不気味ですが途中のMCはけっこう冗談を言い、人間らしかったのが印象に残っています。

はっきり言って好き嫌いが分かれるバンドだと思いますがハマったら最後引き返せません。PFなしには生きられなくなります。(笑)


写真家 野寺治孝
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