エッセイ エッセイのバックナンバー


 もうすぐ夏も終わってしまいますね。暑すぎる夏は早く過ぎ去って心地よい秋になってほしいと思う反面、どこかもの悲しい気持ちにもなってしまいます。けっこうこの季節は好きですね。さて、今年の夏もいろいろとありました。

 7月に写真の大先輩である山本光宣さんがお亡くなりになりました。この方に出会わなければ写真をやっていなかったでしょうね。生意気な若造だった私を辛抱強く叱咤激励し、写真の奥深さ、楽しさを教えてくれた方です。よく一緒にジャズを聴きました。長い間本当にありがとうございました。合掌。

 8月に入り早々、今年は節電も兼ね一番暑いこの時期に富山に帰郷しました。ところが東京は台風の影響で涼しい日が多かったのです。逆に涼しいと思っていた富山はかなり暑かったです。(笑)例年ですと家内の実家でのんびりしていることが多いのですが、今年は息子とあちこちへ出かけました。高岡の路面電車に乗り新湊まで行きました。この高岡市でどうしても行っておきたい場所がありました。それは駅前のホテルのラウンジです。なぜここかと言うと、3月に震災のため一時避難で富山に来たときこのラウンジでコーヒーを飲んだのです。そのとき「今は辛いけど夏に来るときにはきっと笑っている」と思ったのです。まだまだ日本は震災の課題が山積みですが、個人的にはあのときより笑うことができました。

 飛騨古川にも行きました。息子の尊敬するドラマー神保彰さんがここでライブをするのでローカルな高山線で3時間かけて聴きに行きました。ライブはもちろん素晴らしいものでした。夕食は駅前で飛騨牛ステーキを食べました。メニューを見る息子に「今年は稼ぎが悪いので安いのにしてくれ。でも来年は10億円稼ぐから一番高いのを食わせられるし、高級旅館にも泊まれるぞ」と。息子は「はいはい」と呆れ顔でした。安いステーキでも大変美味でした。負け惜しみでなく、私にとってはこれくらいの脂の乗りのほうが体にいいので有難かったです。息子には私のハンバーグを半分やりました。(笑)こういうのって幸せってことですよね。

 翌日は富山の実家に親戚一家が来るのでBBQをしました。昨日高山から飛騨牛を買って送ってあったのでそれを焼きました。実はこの肉は肉屋さんで超特価1枚千円で買ったのです。5枚限定でした。富山市内で買えば三千円はします。

 息子と電車に乗り、かなりの時間を過ごせたことが良かったと思います。大半はたわいのない話でしたが、そのなかで一つでもなにか彼のなかに残ったことがあればいいと思います。思い出とは過ぎ去ってから「ああ、あのときは本当に楽しかったなぁ」と思うことで、けっこうその最中はだるかったり面倒くさかったりしますよね。でもただ家の中で寝ているよりは、暑かったですがいろいろな場所に出かけて良かったと思いました。とにかく楽しい夏休みでした。

 2冊の本の出版もあり、すっかり仕事モードの今日この頃です。まだ暑いですが、私の中では夏はもう終わりました。

写真家 野寺治孝
All images copyright © Harutaka Nodera. All Rights Reserved.