エッセイ エッセイのバックナンバー


Hは野寺治孝 Jは純子

 夫婦呆談いや放談、ということで今回は毎週日曜日午後2時からFM東京でオンエアされている山下達郎の『サンデーソングブック』の中で達郎さんとまりやさんの新春夫婦放談をパクリました。

「最近、ずいぶん福山(雅治)君を意識してるようだけど、何で?」
「彼の出した写真集が80万部売れたって聞いてうらやましいなぁと思って。まぁ彼の場合はタレントだから比べようもないんだけどさぁ」
「そうだよねぇ、本が売れないと言われて久しいけど、その中でも写真集は1万部売れたらヒットだと言われるよね」
「そう。純粋な写真集は印刷に気を使うし、コストがかかるわりに売れないから出版社がやりたがらないんだよ」
「その中でも売れるのはタレントものかエロっぽいもの?」
「そうだね。でもオレの写真集で一番売れたのは“あの海の日”で通算3万部位売れたかな。福山君とはケタが違うけど。でも常々思ってるけど、世の中で売れてるものって、しようもないものが多いんじゃない?だけど資本主義社会だから結局は質より量、すなわちお金なんだよね。アーティストはある意味、資本主義との戦いなんだよ」
「じゃ逆に福山君みたいになりたい?作品じゃなくて顔で勝負したい?(笑)」
「うん。モテたい!うそうそ冗談だけど。理想論は日本人がもっと成熟して、質のいい音楽や写真がもっと売れたらいいよね。AKBが悪いってわけじゃないけど・・・」(ちょっと弱気な夫)

「ところで、昨年ひとつ仕事辞めたじゃない?その影響ってある?」
「そりゃあ経済的にはしんどいね。一家の主としては責任を感じたり、後悔したりしたけど、写真家としては次に何か新しいことをするためには良かったんじゃないのかな。周りの友人達もみんな応援してくれてるし。妻としてはどう?」
「ここであなたについて行きます!って言わなきゃね(大笑)。ところで、何か新しいことを始めたの?」
「うん。電子出版が2つ決まった。どうなるかまだわからないけど、とにかくやってみないことにはね。正直、紙の本にはこだわりはあるよ。それにオリジナル・プリントの通販もできるように進めているし。あとねぇ、仕事的には企業相手だけではダメだと思うんだ。個人向けにも考えないと。今は撮影が暇な時期だけど、頭の中は新しい企画でいっぱいだね」

「話変わって、あなたは映画とかコンサートとかに行っても感想を聞くと、いつもまぁまぁだねとしか言わないねぇ」
「そんなことないよ。でもまぁまぁなものが多いからかも。でも最近、山下達郎のコンサートに行ってもの凄く感動したよ。初めてだったせいもあるけど。だって演奏してる本人が本当に楽しそうで。それが伝わるんだよねお客に。今年行ったコンサートではジェームズ・テイラーも良かった。大人の音楽は心に響くよね。自分もそんな年になったのかもしれないけど。そういえば、以前、鈴木惣士郎さん(カメラ23)に野寺さんは写真界の小田和正かもと言われたよね。私的には山達を目指して欲しいけど。好きな世界を突き詰めたらああいう風になるんだろうなぁ。超オタクって感じだけど。ファンはそこがいいんだから。」
「そうだね。この前小田さんのインタビューものを読んだけど(ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち岩田由記夫著)最初は小田さんの部分は飛ばしてしまおうかと思ったけど(笑)。彼曰く、この世の100人中1人が自分の歌を好きだと思ってくれればいいと思って活動を始めたと。あの声は本人にはけっこうコンプレックスらしいよ。でもそのコンプレックスが個性だよね。結局プロは個性で勝負するしかないよね」
「おお、ちょっとは大人になったじゃん。一皮むけてたね」
「おかげさまで、あなたにむいていただきました。ありがとう(笑)」というわけで本日はここまで。お後がよろしいようで。不定期に続く。
写真家 野寺治孝
All images copyright © Harutaka Nodera. All Rights Reserved.