エッセイ エッセイのバックナンバー


 巣巣さんでの写真展「だからひとり海へ」開催中にワークショップを開催させていただきました。今までもメーカー主催の大人数でのワークショップはありましたが少人数での開催は初めてでした。あるミュージシャンがこんなことを言っていました。「1万人の武道館では全然あがらないが、小さなライブハウスほどあがってしまう。もしたった一人の前なら極端に緊張してしまうだろう」私に限ってそんなことはないと思っていましたが、見事にあがってしまいましたね。

 最初は1日だけの予定でしたが有難いことに満席になってしまい、翌日追加になりました。さて、いざやってみるとひと言でいって「人に教えるのは難しい・・・」でした。普段自分が何気なくやっていることを人にわかりやすく、理論的に説明することは本当に難しいです。学生時代の担任の先生の気持ちがわかりました。(先生ごめんなさい。私は悪い生徒でした)

 なぜ難しいかといえば、写真には正解がないからです。正解のないものをどうやって教えることができるのでしょうか。強いていえば、正解らしいところへ導いて行けるかどうかなのです。かといって果たしてその人の求めている答えなのかどうか、これまた疑問です。なぜならば、最終的には「好きか嫌いか」なのです。たとえるならば、恋愛のようなものです。恋愛のテクニックって結局のところ好きな人からは何をされてもうれしいし、嫌いな人からはどんな親切も嫌ですよね。恋愛論に正解はありません。それを言ってしまったら「写真のワークショップなんていらない!!!」と怒られてしまいそうですが。(笑)

 2日間のワークショップを通しての印象ですが、総じて男子は左脳で撮る傾向がありますね。どちらかというとメカや機能を重視ししっかりピントを合わせてシャッターを切るという感じでしょうか。それに比べて女子のほうがカメラは何でもいい、時にはケイタイでも。とにかく好きなもの興味あるものを自由に撮る。右脳派ですね。各自持参してもらった旅の写真を見せてもらったのですが、欲張りすぎが多かったです。要するにせっかく旅に出て遠くまで来たのだから、ひとつの画面の中にたくさんの要素を入れすぎていました。手前にケーキ、中間に友人、その後ろは風景といった、まるで幕の内弁当のように何でもかんでも詰め込んでしまい、写真が散漫になっていました。本当に撮りたかったのは何だったのでしょうか。私はケーキだと思いました。旅に出ても普段と同じようにシンプルに撮ったほうがいいと思います。

 みなさん本当に真剣に私の話を聞いてくれました。この場を借りて御礼申し上げます。でも本当は私のほうがみなさんを通じて勉強させていただきました。ありがとうございました。また機会がありましたならワークショップを開きたいと思っています。たった1回のワークショップでどれだけみなさんのお役に立てたかはわかりませんが、ひとつだけ言えることは以前よりも写真が楽しくなったのではないかと秘かに自負しております。

 

写真家 野寺治孝
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