エッセイ エッセイのバックナンバー





 今、私のなかでは80sがマイブームです。邦楽で言えばYMO、大瀧詠一、ユーミン、サザン・オール・スターズ、洋楽ではマドンナ、マイケル・ジャクソン、ブルース・スプリングスティーンが流行った時代です。男子はとにかく車。どんなに貧乏しても車が欲しい!車を買ってカセットテープにユーミンかサザンを入れて女の子と湘南にドライブすることが人生のすべてだったと言っても過言ではありませんでした。車がなければ女の子は誰も振り向いてもくれませんでした。今の若者たちは車を買わないそうですね。この前、うちに来た車の保険屋さんが「車がとにかく売れないんです。したがって保険に入る人も減っているんです」と泣いていました。

 私も例にもれずホンダ・シティという可愛い車を購入しパイオニアのロンサム・カーボーイというカーステレオを入れました。カウボーイではなくカーボーイです。当時の広告代理店のコピーライターのしてやったりの顔が浮かびます。リアウィンドウにプラスティック製のヤシの木のおもちゃを飾ったり、アメリカのラジオ局のステッカーを貼るのが流行っていました。(もちろん私もやりました)そして夢にまで見た女の子との湘南ドライブにも行きました。サザンもユーミンも聞き飽きてしまい、なんと私は大好きだったとはいえ、男臭いオールマン・ブラザーズバンドをかけてしまったのです。しかも頭に乗り、その次にレイナード・スキナードも。今でいう空気読めない、女の子ドンビキってやつですね(笑)

 私自身もデザイン事務所への就職やその後のプロ写真家としてスタートを切った時期で、本当にいろいろあった10年間でした。もっとも楽しくもっとも辛い青春の真っ只中でした。日本は金銭的、物質的に豊かになり、気分や空気感を感じる心のゆとりが出てきた時代だったのかもしれません。その後のバブル崩壊で痛い目にあうのですが・・・。

 さて、前置きが大変長くなりましたが、なぜ80sかと言うと、60s、70sのブームはすでに何回か来ていますよね。ぼちぼちその延長で80sがブームになってもおかしくないんじゃないかと思いました。そこで80年代に撮影した写真を見直しました。これがけっこうおもしろかったです。もちろん稚拙なものが多いのですが、その中にも今では撮ることのできないものが何点か見つかりました。良い悪いではなく、確実にその時代の空気のようなものが写っていました。ただテイストが今現在の写真とあまり変わっていません。要するに私の写真は進歩していないのです。このことが良いのか、悪いのかはわかりません。

 今回はそんな80sの写真を多く載せました。私としてはどのようにまとめていいのかわかりません。もしかしてまとめるだけの価値がないのかもしれませんが。そこで読者の皆様の意見をお聞かせ願えれば幸いと思っています。何かご意見がございましたらコンタクトのページよりお寄せください。よろしくお願いします。

注:オールマン・ブラザーズバンドとレイナード・スキナードは70年代のアメリカ・サザンロックの雄であります。女性っぽさのカケラもなく、かなり男臭い硬派なバンドです。ともにスタジオ録音よりライブ盤がいいですので興味ある方は聴いてみてください。

 

写真家 野寺治孝
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