エッセイ エッセイのバックナンバー

 先日、ラジオの番組で松任谷由実さんがこんなことを言っていました。「歳を取るとどうしてもしつこくて、うっとうしくて、頑固になる。こうならないためにはかなりの努力が必要ですね」ちょっとショックでした。たぶん、私も知らず知らずのうちにそのような人間に近づいているのかもしれません。より良く歳を重ねるのには相当の努力が必要なのかもしれません。肉体は日々衰え、簡単にできたものができなくなるイライラや、ジェネレーションギャップからくる若い人達の考え方や、価値観に共感ができなくなり、「最近の若者は俺達と比べて・・・」が口癖になります。世の中すべてのものが気に入らなくなり、成功している人を見ると無性に腹がたってきます。酒でも入ればもう最悪。必ずケンカを売ってきます。やだやだ!そんなジジイにはなりたくなーーーい!(笑・エコーをかける)かといって、腹に一物持っているくせに若者の気持ちがわかるフリをしたり、着たくもない流行の服を着るのはもっと嫌ですね。じゃあどうしたらいいのだろう???こんなことを書いていること自体きっと嫌なジジイになっている証拠かもしれませんね。

 自然体でいたいけれどそれだけではダメです。ではどう努力したらいいのでしょう。ひとつ思いつくのは若い人達となるべく多くの時間接することかもしれません。今(51歳)なら間に合います。まだ脳にも柔らかい部分が残っています。幸い周りには若い友人がたくさんいます。彼らと接していると学ぶことがたくさんあります。私なんかよりもずっとしっかりしています。彼らの悩みを聞かされると「自分が若い頃と同じことで悩んでいるんだ」ちょっと余裕で何だかほほえましく、うれしくさえ思えてきます。私の悩みにも「へえー野寺さんでもそんなことで悩むんですね」と言って真剣に話を聞いてくれます。

 かっこいいジジイのモデル像は永ちゃん、こと矢沢永吉さんではないでしょうか。還暦を越えてもかっこいいですよね。中学生の頃はよく彼のバンド・キャロルを聴きました。最近、NHKのSONGSに出演されていたとき、若い人達と対談をしていました。そのときの彼は同じ目線で厳しさのなかにも優しさ溢れる言葉で語っていました。印象に残ったのは、若い女性の質問に対して、「他人や社会のせいにしてはダメ。そこに逃げ込むのは簡単だ。でもいずれすべては自分に返ってくる。だから全部自分の責任で決めたほうがいい」、「何だかんだいっても、今いる場所が心地いいんでしょ?だから抜け出せない。でも本当はそこでいいんだろうかと自分でも迷っている。結局、決めるのは自分自身でしかないよ」

 私はかっこよく、歳が取れるのか。これはよほどがんばらないと達成できない今後の大きな課題だと思います。これは写真に顕著に表れると思います。経験を重ねながらも、好奇心を保ち、被写体に対しピュアであり続けるということでしょうか。

 

写真家 野寺治孝
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