エッセイ エッセイのバックナンバー

 昨年(09年)の春頃から写真集の企画を考えていました。最初は文が書ける友人3人とコラボして本を作ろうとしていました。調子に乗り、友人達が文を書くなら私もひとつ書いてみようと思い4冊分のダミーを作り、お付き合いのある出版社に売り込みに行きました。そしたらなぜか私のものが採用になってしまったのです。なんだか友人達には悪い気がしていますが・・・。しかし、皆「誰のでも出版が決まったのだから大成功だよ」と大喜びしてくれました。皆本当にいい友人達です。感謝しています。この場を借りて「ありがとう!!」と言いたいです。

 ところが、そこからが大変でした。ダミー用にほんの少しだけ書いた文でしたが、1冊分書くとなるとこれが大変で、まさに生みの苦しみを味わいました。そんなときにもう一社から「旅の本を出しませんか」とオファーをいただきました。こんな景気の悪いご時勢に2冊も本が出せるなんて夢のようなことです。どちらの写真集も一つの場所をテーマにしたものではないので写真のセレクションが大変でした。まず膨大なストック(10万枚以上)の中からある程度絞りこまなければなりませんでした。しかし、昔の写真を見てその当時のことを思い出したりして懐かしくもありまた楽しくもありました。昔の写真は未熟なところもありますが、今では撮れない“熱さ”のようなものが写っていました。それがだんだん新しくなるにつれ贅肉がそぎ落とされ、洗練されてきているのがわかりました。ただひとつ気になったのは、まぐれ当たりの場外ホームラン的写真が少なくなったことです。要するに、力を入れなくても“フェンスを越えればホームラン”的写真が多くなってきたのです。これがいいことなのか良くないことなのか一概には言えませんね。もしかして年齢やキャリアを重ねるということはそういうことなのかもしれません。でも私は昔の写真も大好きです。昔の友人や恋人に会ったような気持ちでした。

 2冊の写真集はともに私の代表作的な写真が多く載るものになります。もちろん未発表の新しい写真も入る予定です。どうぞ楽しみにもう少しお待ちください。もったいつけてごめんなさい。

 

写真家 野寺治孝
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