エッセイ エッセイのバックナンバー

 今年1年間のエッセイをふり返ってみて恋愛論が一番人気?だったので調子にのってまた書いてみます。
 今回は恥をしのんで私自身のことを告白します。

 中学の頃、好きになったA子さんにラブレターを出しました。
 返事がないので2、3通出したところ、猫の可愛いイラストの入った封筒が彼女から届きました。
 「やったー!」と封を切り、これまた同じイラストの便箋に一言書いてありました。「あなたはしつこい方ですね。迷惑です。止めてください」
 ガ〜ン!!ショックでした。もちろん、その一言もそうでしたが何でその言葉が可愛い便箋に書いたのかが理解を超えとてもショックでした。天と地がひっくり返り死にたくなりました(笑)

 クラスのB子さんはお下げの似合う可愛い子でした。
 あるとき音楽の話になり、彼女はロックを聴いたことがないと言うのでレッドツェッペリンのLPを貸してあげました。
 彼女はうれしそうにありがとうと言ってくれました。翌日学校に行くと彼女はレコードを返してきました。
 「もう聴いたの?ずいぶん早いね」と言うと、「彼にこういうのは聴いてはいけないと言われたので返すわ」、「彼に・・・彼に・・・」付き合っている彼がいたなんて知らなかった。私はなんだったんだ。何をやっていたんだ。彼が返せと言ったから返すのか。
 だったら彼が死ねと言ったら死ぬんだね君は。言いようのない怒りがこみ上げてきました。今から思えば私も一方的でわかりやすい若者でしたね。
 というかバカ者ですね。

 社会人になってC子さんとお付き合いをするようになりました。
 写真家を目指す私を応援してくれ他の友人にも「彼は写真家になることが夢なの」とちょっと自慢げに言ってくれたりもしました。
 お互い何となく結婚を意識し始めた頃、彼女に突然言われました。「私は親が決めた公務員の方と結婚します」私たちは当然別れることになりました。
 そのとき強く思いました。「いつかどこかで偶然出会ったら絶対君を振り向かせてみせる。立派で有名な写真家になってみせる。絶対後悔させてやる。公務員は嫌いだ」
 今でも立派で有名な写真家になれたかどうかはわかりませんが(笑)ただ、このことが自分のなかでは写真の世界でがんばれる原点にはなりました。ちなみに彼女とはその後出会ってはいません。

 失恋したときは恨みもしました。人生に絶望もしました。そのたび先輩や友人は言ってくれました。「朝の来ない夜はない。春の来ない冬はない」と。
 私は思いました。「今の自分にはこの瞬間の朝が欲しいんだ。暖かい春が欲しいんだ。未来ではなく今なんだ。彼女以上の人が将来現れるなんて想像できない。人ごとだと思ってもっともらしいことを言わないでくれ。バカヤロー」

 そんな私でしたが今の家内とであったのが33歳のときでした。友人の紹介でした。縁あって出会いから半年で結婚しました。
 今ふり返ってみると家内以外の女性とはどこか無理をしてカッコつけて付き合っていた気がします。

 別れたとき(実際はフラれたとき)は恨んだり落ち込んだりしましたが、仮に結婚したとしてもたぶんうまくいかなかったでしょうね。
 だからフってくれたことはラッキーだったと今は思えます。大きなお世話かもしれませんが、彼女たちも幸せに暮らしていればいいと思います。何かの縁があり青春の真っ只中で会えたのですから。

 私事の話で恐縮でした。少しでも恋愛に悩んでいる方の励みになればいいと思い恥をしのんで書きました。

 

写真家 野寺治孝
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