エッセイ エッセイのバックナンバー

 予定していました前回のつづき「旅・宮島、呉」はまた次の機会に書きます。ごめんなさい。

 今回はどうしてもビートルズが書きたくなりました。なぜビートルズかというとリマスターCDがついに出たからです。ビートルズのCDは1987年に発売されて以来そのままだったのです。今回世界中が待ちにまったリマスターCDの発売となりました。リマスターというのはかんたんに言うと音が良くなったということです。詳しく説明すると長くなるので省略させてください。私はオリジナルアルバムがすべて入ったボックスセットを買いました。音は良くなったというよりは聴きやすくなりました。エッジが取れ、柔らかくなった感じです。以前のCDはキンキンした音でした。あらためて全曲聴きましたがやっぱりいいですね。

 1962年のデビュー以来70年解散までの8年間で音楽界の進歩をめちゃ進めたといってもいいでしょう。今の音楽は多かれ少なかれビートルズの影響があると思います。ビートルズは最初イギリス・リバプールの単なる若者アイドルロックバンドでした。それがロックという枠に囚われずありとあらゆることをやりました。私もリアルタイムで聴いたわけではありません。子供の頃、兄が聴いていたのをかすかに覚えている程度です。印象は髪の長い変なお兄さん達でした。中学生の頃に通称「赤盤、青盤」というベスト盤が出て友人達と聴き始めました。(レコードです)シー・ラブズ・ユーやイエスタディの入った赤盤が好きでした。青盤は中学生には難しかったですね。アルバムは映画になった「A Hard Day's Night」(邦題はビートルズがやってくる、ヤァーヤァーヤァー、とんでもない笑っちゃう邦題ですね)が一番好きでした。

 今回あらためて聴き直して見るとアルバム「リボルバー」以降が圧倒的にいいですね。やっと私の音楽レベルがビートルズに追いついたのかもしれません。(笑)特に「ホワイト・アルバム」「アビーロード」「レット・イット・ビー」の3枚は本当に傑作です。「アビーロード」の後半の怒涛のメドレーは最高です。実はこのアルバムの発売は「レット・イット・ビー」の前なのですが、録音順でいうと後、すなわちラストレコーディングなのです。最後の曲が「ジ・エンド」ビートルズらしいシャレですね。1曲目の「カム・トゥゲザー」でジョン・レノンがシュッ!と言っていますが、実はシュート・ミーつまり私を撃てと言っているのです。ジョンが凶弾に倒れたことを思うとゾッとします。ジョンもジョージ・ハリスンも他界してしまったので再結成はありません。しかしあの時代この4人だったからこそビートルズサウンドは成り立ったのです。

 高校受験に失敗したとき聴いた「アクロス・ザ・ユニバース」、失恋してヤケッぱちになったときの「レット・イット・ビー」には救われました。音楽っていいですよね。どんな孤独な心もそっと慰めてくれる最高の友です。私の写真もこうありたいものです。ビートルズを聴いていると音楽という名の宇宙に引きずり込まれる気がします。シンプルなのに奥深く、古いのに新しい。複雑なのに単純。言葉が最小限でわかりやすく深い。もうジャンルを超えています。今となってはビートルズというジャンルでしょう。とりあえず「アビーロード」を聴いてみてください。あと編集アルバムですが「LOVE」もお薦めです。

 

写真家 野寺治孝
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