エッセイ エッセイのバックナンバー

 この夏、息子(14歳)と二人旅に出ました。旅といっても新幹線で広島に行き、帰りは東京に戻らずそのまま家内の実家の富山に帰省するといったものでした。二人とも広島は初めてでした。実は息子にもカメラを持たせ「いい写真は1カット10円で買い取るからがんばって撮れ」とおだてました。アドバイスは彼が聞いてくるまではいっさいなし。とにかく自由にやらせました。後に私の写真と並べてアルバムを作ると楽しいなぁと秘かに思っていました。

 新幹線のぞみで約4時間かけて広島に着きました。「暑い」が第一印象でした。ホテル(HOTEL FLEX は朝食のめちゃ美味しいリーズナブルでツインが8千円のスタイリッシュな快適なホテルです)に荷物を置きさっそく街へ出かけました。新天地にある「本家・村長の店(082-546-1828)」で昼食は何と言ってもお好み焼き。正直、あまり期待していませんでした。「たかがお好み焼き、想像はつく」ところがこれが上手い!生地は薄く、そばはパリッとしてソースと青海苔が香ばしい。すっかりハマッてしまいました。食後徒歩で平和記念公園に向いました。途中雑貨屋でGIジョーのフィギュアを購入(私が)。カフェで休憩したあと、平和記念公園へ向いました。

 原爆資料館に入り厳粛な気持ちで展示物を見学しました。印象深かったのは遺品たちでした。物言わぬその沈黙の証人たちは醜く、焼けただれ、変型しながらも強く語りかけてきました。私はその証人たちに合掌しカメラに収めました。手が震え涙でファインダーがかすみました。プロとしては失格ですね。しかし気を強く持って1枚1枚慎重に撮りました。悲しいとか悲惨だとかよりも私のなかには怒りの感情が強く込み上げてきました。アメリカに対してなのか、政治に対してなのか、この国に対してなのか、その怒りの矛先はわかりませんがただただ怒りが込み上げてきました。原爆に対して頭ではわかっているつもりでしたがショックでした。広島に落とした理由とは「適当な規模の都市のなかでアメリカ人捕虜がいない」だけだったらしいです。「ふざけるな!」本当に腹が立ちます。戦争や核議論はいろいろな意見があると思います。世界の指導者はこの場所、広島でその会議をしてみてください。おのずと答えは出ると思います。で、写真家の私には何ができるのだろう?

 原爆のショックを引きずりながらも日常にもどり、その夜はマツダスタジアムに広島対中日戦を観戦しに行きました。とにかく素晴らしい球場です。東京ドームで見るのが嫌になります。開放感抜群で見やすく、席が前から7列目ということもありましたがグランドが近い!メジャーの球場みたいです。場内を1周できるコンコースがいいですね。食べ物はハンバーガーと牛丼を食べたのですがいまいちかな。広島駅から徒歩10分で行くことができます。途中に市場がありいろいろと惣菜を売っていますので買って行くことをお薦めします。試合は広島の栗原選手がセンターにライナーのホームランを打ちましたが大差で敗れてしまいました。

 ホテルに戻りシャワーを浴びベッドに入りましたが目まぐるしい1日だったのでなかなか寝付かれませんでした。息子は横で高イビキでした。疲れましたが充実した1日でした。次回は2日目宮島、呉を書きます。

写真家 野寺治孝
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