エッセイ エッセイのバックナンバー

 いきなり恋愛論というタイトルにびっくりされた方もいると思います。恋愛も写真も時として人を悩ませ、惑わせ、苦しめるものです。しかも時々楽しませてくれたり希望を与えてくれたり夢を見させてくれたりすることがあるのでやっかいなのです。「どうしたらこの恋を成就できるのか?」人類長年の大きな問題です。(笑)宇宙征服よりも難しいかもしれません。それは数学のように1+1=2にならないからです。好きな人からならば何をされてもうれしいし、嫌いな人からはどんな親切も嫌やなのです。ある方法で上手くいった恋のアプローチも同じ方法で他の人に対しては上手くいくとは限りません。若い頃「A子さんが好きなんだけれど、どうアプローチしたらいいか教えてほしい」的な相談を受け、こうしたらああしたらとアドバイスしましたが結論から言うと、ダメなものはダメだし上手くいくときは上手くいくのです。こう言ってしまうと元もこもありませんけど。

 私は自慢できるほど恋の炎を掻い潜ってきたわけではありませんので、少ない経験と男の立場からしかわかりませんが、女性はやはりムードに弱いのではないでしょうか。初めてのデートならば味は良いけれど汚いラーメン屋さんよりも雰囲気の良いイタリアンでしょうね。音楽もハードロックよりも軽いジャズかボサノバ、AOR(例えばボズ・スキャッグス・・・古いかなぁ)がいいのではないでしょうか?人にもよりますが女性はルックスよりも人柄や才能に惹かれるみたいです。男も私くらいの年(51歳)になると話をしていて楽しい女性に惹かれます。でも本音を言うと美しい人に興味がないわけではありません。それは写真家にとって大切なことだと自分自身に言い聞かせています。(笑)

 いつだったかハワイから帰る飛行機の中で20歳前後のとても生意気そうな女性と目が合ってしまいました。「こんな女と関わったら振り回され一生不幸になる」と直感で感じましたがその一方でとても気になるのです。今でもはっきりと覚えているくらいですから。こんな気持ちをなんと表現したらいいのでしょうか。その何かが私の心を揺すぶるのです。言い訳っぽいですが、写真を撮るにあたってはその何かが大切なのです。写真を撮るという行為は風景にせよ人物にせよ一瞬恋をすることだと思います。その被写体から何かが吹いてきて心を揺り動かすからシャッターを切るのです。写真に失敗が付きもののように恋にも失敗は付きものです。辛いですよね。世の中の他人がすべて幸福そうに見え「みんな死んじまえ」とさえ思ってしまいます。しかし、この年になって言えるのですが失恋の悩みって甘美でいいですよね。今の私の悩みなんて健康、すなわち死に直結しています。できれば失恋で悩んでみたいものです。離婚したいとは言っていませんよ。(笑)妻帯者の私は言葉を選ばないと大変なことになりますので・・・そろそろまとめに入ります。


1. 失恋したときは次の恋への大きなチャンスである。
 その真っ只中にいるとなかなかそう思えませんが・・・

2. 自分自身の価値観を曲げてまで相手に合わせるな。
 惚れた相手に多少は合わせるのも必要ですが、阪神ファンなのに巨人ファンにはならないで下さい。

3. 自分と同じステージにいる人としか上手くいかない。
 これは失恋した後でわかりますが、結局は自分とは人生観が異なった人だったのです。結婚はゴールではない。

4. 結婚してからも相手を尊重する努力をしましょう。
 釣った魚に餌をあげないのは最低です。

5. 人はご飯が食べられて初めて恋ができる。
 戦火をくぐり抜けた私の母が言ってくれた言葉です。

 今回は少々無謀なテーマでしたね。書いていて思いました。恋愛も写真もこうしたら上手くいくという方程式がないのです。だから面白くもあり難しくもあるのです。若者よ(若くなくていいかぁ)恋をして、写真を撮ろう。失敗(失恋)はこの方法では上手くいかないという成功例である。今回なんで突然恋愛論を書いたかというとファンの方からのリクエストがあったからです。いい訳しておきます。もし私に聞いてみたいことなどありましたらリクエストをください。

写真家 野寺治孝
All images copyright © Harutaka Nodera. All Rights Reserved.