エッセイ エッセイのバックナンバー


 フリーランス写真家にとって待っているだけでは仕事は来ません。時には自分から売り込みに行きます。上手くいく場合もあればそうでない場合もあります。仕事とはいえ縁というものを感じます。

 A社とは代理人を通して何度もプレゼンしていただいてますが決まったためしがありません。先日もその代理人から「A社の企画なのですがプレゼンしてもいいですか」とお話がありました。もちろんOKしましたが案の定決まりませんでした。フラれた相手とはなかなかお付き合いできませんね。まるで恋愛関係のようです。(笑)

 大手B出版社にも写真を持ち込みましたが不採用となりました。私としては自信があったので「私の作品がわからないB社はセンスがない」と強がってはいましたが正直に言うと少々ショックでした。ところが、3日後にC出版社からお声がかかったのです。打ち合わせに行くと「16ページ掲載させてほしい」とのことでした。まさに捨てる神あれば拾う神ありでした。

 このとき思ったのですが、要は使う側の都合なのです。もちろん写真があるレベルに達しているという前提の話ですが。例えが合っているかわかりませんが、ランチにパスタを食べた人にディナーでまたパスタを出しても食べてくれないということです。相手の企画に上手くはまったときに採用になるのです。もっと露骨に言ってしまえば、商売になるかどうかなのです。あとはその出版社のカラーやそのときのテーマ性みたいなものもあると思います。「今年は若い女性の写真で行こう」という企画のところに私のようなおじさんが行っても無理でしょう。

 大切なことは相手に媚びず、自分のカラーを出した作品を撮りつづけ、たとえ認められずとも根気良くつづけることが大切ではないでしょうか。信じるのは自分の感性のみです。「作品を創るということは孤独でそして自分自身と戦うこと」と何かの本で読んだことがあります。あと、若い頃は断られたときにその企業を見返してやるくらいの気迫があってもいいですね。恋愛と同じでフラれた相手と何年後かに会ったときには前よりもいい男になっていたほうが絶対いいですよね。根性論は今時流行りませんが、写真家である以上、時には見栄を張ることも大切だと思います。


 

写真家 野寺治孝
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