エッセイ エッセイのバックナンバー


前号からのつづき。

 こうして私は幸か不幸か義父の暴れたことがきっかけとなりとりあえず写真家としてスタートを切ることが出来ました。たぶん私は珍しい例だったと思います。ですからこのエッセイを読んでくださっている皆様の参考にはあまりならないかもしれませんね。写真の世界で25年間やってこれたわけを自分なりに考えてみると「写真が好き」これに尽きます。しかも誤解を恐れずに書きますと「自分の写真が一番好き」なのです。あと忘れてならないのはいろいろな方とのいい出会いがあり、助けていただいたということでしょう。本当に感謝をしております。

 「どのようにしたら写真家になれるか?」この問いに答えはありません。散々ここまで引っ張っておいてそれはないですよね。しかし、答えがないということはどのようなやり方でもいいということでもあるのです。入社試験も資格もありません。極端な話、今日から「私は写真家です」と名乗った瞬間からなれるのです。では具体的にどうしたらいいのか書きますね。

●作品を創る
これがなくては何も始まりません。1つのテーマを最低20枚くらいで3,4テーマ。それぞれを見やすくまとめる。ファイリングは自由。

●人に見てもらう
写真展、売り込み、何でもいいです。見てもらってなんぼの世界です。最近はホームページがわりと簡単に作れるので利用しましょう。連絡先のわかる名刺は必須です。

●プレゼンのコツ 
例えばAさんに明るいハワイの写真を見てもらうとします。Aさんの今探している写真は暗いハワイの写真です。当然Aさんにとっては必要ないわけです。ですから断られます。しかし、Aさんの知人のBさんが明るいハワイの写真を探していました。後日Aさんから連絡が入り、Bさんを紹介してくれるなんてこともあります。ですから一人ひとりにこつこつとプレゼンすることが大切です。写真業界は狭い世界なのでみんな繋がっています。ひとつ繋がれば次が次を呼ぶこともままあります。

●自分の個性の出ている写真を見せよう
あるインテリア雑誌の編集長からこのような話を聞いたことがあります。「昨日、売り込みに来たカメラマンは上手いんだけど個性がないんですよ。私がこんな感じの写真が欲しいと言うと、さっとファイルからそれらしい写真を出してくれるんだけど、その人らしさが写ってないんですよ」要するに雑誌社にしてみたら同じタイプの写真家は二人いらないということだと思います。ですから自分の個性がより強く出ている写真を見せたほうがいいと思います。新人写真家が入っていくことはかなり狭き門だと思いますが新しい発想と個性でぶつかっていってください。必ず道は開けるはずです。極端な話、インテリア雑誌社に風景写真を見せてもいいのです。優秀な編集者はその中からあなたの才能を見抜けます。

 最後になってもなかなかいいアドバイスが書けませんね。ごめんなさい。要するにこうすれば必ず写真家になれるという道はないのです。ということはどの道も写真家に通じているとも言えるのです。最後に一言書いておきます。

「チャンスは突然目の前を猛スピードで横切る。まずはそれを見る能力を養おう。そして確実に捉まえる準備をしておこう」 

写真家 野寺治孝
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