エッセイ エッセイのバックナンバー

 今回は私のお気に入り、5人の女性ボーカリストを紹介します。
 
DIANA KRALL
今最も油の乗りきったジャズボーカリストの一人です。少し擦れた鼻に掛かった声がセクシーです。でも男に媚びたセクシーさではなく、どこかに「フン。男なんてなによ」といったツンと澄ましたところがあります。歌が上手くピアノも弾けて、おまけに美女。天は彼女にたくさんのものを与えてしまいました。とりあえずこのベスト盤『THE VERY BEST OF』他には『LIVE IN PARIS』がいいです。写真家の目で見ればCDジャケットはもう少しセクシーさを控えてスタンダードなポートレートで十分だと思います。
ANITA O'DAY
50年代、60年代を代表する白人シンガーです。色気はあまりありませんがハスキーな声が魅力です。ニックネームはニューヨークのため息。青江美奈さんに似ています。3、4枚CDを持っていますがこの名盤『ANITA SINGS THE MOST』がやはり一番でしょう。80年代後半に東京のブルーノートでライブを聴きましたが往年の輝きがなくてちょっとさびしい気がしました。でもこの名盤の輝きは永遠です。
PATRICIA BARBER

このアルバム『NIGHT CLUB』はタイトルのとおり夜のイメージのアルバムです。このアルバムにほれ込み何枚かCDを買いましたがこれを超えるものはありませんでした。色気よりも自立した大人の女性のイメージでかっこいいです。ピアノも音数は少ないですがタイトで私は好きです。録音がかなり優秀なことも付け加えておきます。

MARIA MULDAUR

1973年制作の『OLD TIME LADY』は彼女のソロデビュー作です。裏返った音程の不安定な声は好き嫌いがあると思いますがはまってしまった人にはその魅力から抜け出すことは難しいでしょう。このアルバムには名ギターリストのライ・クーダーとエイモス・ギャレットが参加しています。1曲目でライのギターソロが聴けますがめちゃくちゃかっこいいです。最近ではブルースのアルバムを何枚かリリースしています。ちなみに一昨年ライブに行きましたがすっかり太ったおば様になっていました。

AMY WINEHOUSE

最初ラジオで彼女の歌を聴いたときには60年代のオールディーズがかかっているのかと錯覚してしまいました。ソウルスピリッツ溢れるアルバム『BACK TO BLACK』です。少しだけ演奏より遅れて歌うのは天性の才能かと思えます。相当破天荒な性格らしいので一発屋か大バケするか今後の楽しみです。今のところ1曲目のREHABを聴くためにだけこのアルバムを買っても価値があると思います。

  以上好きな5名を挙げましたが共通しているのは決して美声ではないということ、それぞれに色があること、何より個性的であることです。これは私個人の好みですが美声で声を張り上げ熱唱するタイプの歌声はあまり好きではありません。写真でも音楽でも自分の色を持つことが大切かもしれませんね。機会がありましたらぜひ聴いてみてください。
写真家 野寺治孝
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