エッセイ エッセイのバックナンバー

 去年1年間で仕事がほとんどフィルムからデジタルに移行しました。1月にパン屋さんの取材がありました。作業工程と店舗、そして出来上がったパンのイメージ写真です。ライトは蛍光灯、自然光、白熱灯と何でもありでした。しかもこの日はどんよりとした曇り空で午後からは雨も降り条件としては最悪でした。クライアントからは「フィルムでお願いします」と指定がありましたがあまりにも条件が悪かったので自主的にデジカメとフィルムと両方で撮影しました。結果的には圧倒的にデジカメのほうが色被りも少なくきれいに撮れていて結局デジタルが採用となりました。

 3月には松任谷由実さんとハワイに行きました。入稿まで時間がなくて最初からデジタルでと指定されていました。撮影が終わって成田空港でスタッフが待っていてその場でCFカードを渡しました。5日後には色校正までいったとのことでした。フィルムでは考えられないスピードです。

 6月にプライベートでイギリスに行きましたがすべてデジカメで撮りました。(ギャラリーのLand's end参照)今まではフィルムを200本近く持って行きましたがCFカード20枚足らずでしかも感光の心配もなくなりました。

 以上のようなことを書くといいことづくめのようですがまだまだ問題もあります。印刷屋さんによっては不慣れで黒の締りと白の抜けの悪い色になってしまうこともあります。私は必要とあれば色見本をつけるようにしています。こうすることによってかなりいい感じの色になりました。その色なのですが、フォトショップなどのソフトでかなり変えることができます。最初のころは面白がっていろいろやってしまいましたが最近では必要最小限に留めています。私の場合、マゼンタとシアンをやや下げ少しだけ黄色くします。これはノスタルジーな雰囲気を出したいからです。明るさ、コントラスト、彩度などは必要に応じて上下し最後にシャープネスを掛けて仕上げます。

 デジカメは確かに便利ですが撮影時に「とりあえず撮っておこう」ということはありません。デジタルというフィルムを使っている気持ちで1枚1枚を大切にしてシャッターを切るよう心がけています。

 今のところメインのカメラはキヤノンEOS-5Dです。

写真家 野寺治孝
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