エッセイ エッセイのバックナンバー

最近はアマチュア写真家の方との交流が増えています。作品を見る機会も多いですね。そこでちょっと感じたことを書きます。先日偶然、富士山の写真展を見る機会がありました。

100枚ほど展示されていて、どれもきれいでそれなりによく撮れていました。いい写真なのです。撮った方もきっと「部屋に飾っておける写真が撮れた!」と思って満足していらっしゃると思います。

ある程度のレベルには達しているとも評価できます。しかし正直、私には1枚もピンとくるものはなく、“いい写真”ですが“面白い写真”ではありませんでした。

ではいい写真とはどういう写真を指すのか?それは「ピント、露出が合っていて基本に忠実で、きれいに撮れている写真」です。普通そこまで撮れるようになるのは大変なことです。では面白い写真とは何か?「いい写真の要素(時にはあえて無視して)+撮影者の感性と個性と感動が写り、その想いが伝わってくる写真」だと私は考えています。傑作と呼ばれている写真にはすべてそれらが備わっています。このことが単にいい写真と面白い写真とを分けているのだと思います。

面白い写真が撮れる3要素は「魅力的な被写体、それを写し撮る技術、そして感性」です。特に最後の感性は人それぞれ違います。教えられるものでもなければ、教わって身に付くものでもありません。各人が磨く以外に方法はありません。

話は逸れますが、小さい頃テレビでウルトラマンをよく見ていました。子供でしたから怪獣とウルトラマンが戦えばそれだけで嬉しかったのですが、シリーズの中でこんな風変りな話がありました。それは科学特捜隊が元は人間だった怪獣ジャミラを倒すことに悩んだり、自分たちはウルトラマンの足手まといになっているのではないかと苦悩したりするのです。子供心にもそれが残りました。後にその回の監督は実相寺昭雄さんとわかるのですが。優れた作家はたとえ子供番組でもすごい作品を作ります。そして後世に影響を残すのです。

今写真をやっている方やこれから始める方にはぜひいい写真の先の“面白い写真”を目指して欲しいと思います。そしてその面白い写真が撮れるようになる私の拙著が6月に玄光社より発売される予定です。詳細は決まり次第お知らせいたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。

写真家 野寺治孝
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