エッセイ エッセイのバックナンバー

私にとって初めての写真教則本『PERFECT PHOTO RECIPES BOOK パーフェクト・フォトレシピブック』を出版いたします。今回はその裏話です。もともと私はこの手の写真教則本には興味がありませんでした。それは「写真は技術ではなく、感性で撮るもの。本を読んで上手くなるものではない」と言う考えを持っていたからです。ですので一生教則本を書くことはないと思っていました。でもちょっと考えてみたのです。「それでいいのか、それはちょっと高飛車なのではないか、何か活字で伝えられることがあるのではないか・・・」

そしてひらめいたのです。「自分が写真を撮ったときの状況を短いエッセイ風に書いてみようか」と。カミさんにそのアイデアを言ったら、「それは面白い。従来の教則本は文字やデータが多くて本を開いただけで興ざめして読む気がしない。だから文字が少ない本はいい!」と賛成してくれました。そしてもう一つ思いついたのはタレントのローラさんの料理レシピ本のようなコンセプトにしようということでした。彼女の本はデザインがクールでシンプルで実にカッコよかったからです。そんなことを考えていた矢先、うちに遊びにきた写真関係の女性にこの企画を話したら、「面白いですね。いっそのこと技術やデータも料理レシピ風に書いたらどうですか?」と目から鱗的な意見を言ってくれました。これにはガッツーン!でしたね。しかしこのご時世そう簡単にこの企画が通るとも思えませんでしたし、こんな画期的な本を制作出版するには優秀な編集者とセンスのよいデザイナーさんが必須です。そんな諸々のことを念頭に置きつつ以前『旅写』でお世話になった玄光社の編集者Yさんを訪ねました。するとYさんは即決で「面白い!ぜひやりましょう」と言ってくれたのです。その場でデザイナーもかねてから決めていたSさんに決まりました。お互いにいいタイミングだったようです。これもご縁なのでしょう。2016年9月のことでした。

発売日は2017年6月と決まりました。9月の時点ではまだまだ先で余裕だなぁ。文章もレシピ風だから短くて書きやすいだろう。と高を括っていました。ところがこの文章書きが大変!!なぜ教則本の文章が長いのかがわかりました。書きたいことが多いからです。自分が言いたいことのエッセンスを凝縮して短く書くのは思いのほか難しかったのです。1枚の写真を論理的に説明するのが今回の本のキモです。例えば、写真の専門用語はどこまで説明するのか、読者のレベルをどの辺に設定したらいいのかなど書き始めてから大変さがわかり頭を抱えました。(笑)

そして100枚の写真選びには友人知人の女性たちに協力してもらいました。理由はこの本の読者の想定が30歳代の女性、写真のレベルが中級程度だったからです。100枚選んでからも入れ替えをしたり、新たに撮り下ろしたりと作業が必要でした。またデザイナーのSさんには何回もデザイン案を出してもらったり、大型書店に市場調査に行ったりもしました。4月の終わりにはほぼすべての作業が終わったように思えていたのですが、いやいやそれから最大の山場だったのです。そう文字校正をいう一番やっかいで苦手な作業です。誤字脱字、字数制限のある個所は文章を削るなどなど。途中で何度も「これでいいじゃん」と投げ出したくなりましたが、そのたびにカミさん尻を叩かれ「自分の納得できるような本にしなければ」と締切り日ギリギリまでかかって何とかやり遂げました。

自分では過去に例がない画期的な面白い教則本を作ったという自負はありますが、あとはご覧になった皆様に評価していただけたら幸いです。

この本は私一人の力ではできませんでした。協力してくださった皆様の力の結集なのです。嬉しいです。有難いです。この場をお借りして御礼を申し上げます。

なおこの本の詳細はトピックスをお読みください。
全国書店、アマゾンなどで6月7日より発売されます。

写真家 野寺治孝
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